オフィスで高セキュリティな入退室管理を実現するには

オフィスで高セキュリティな入退室管理を実現するには

近年、個人情報をはじめとする情報保護の必要性から、オフィスのセキュリティに対する意識が高まっています。中でも、人の出入りを管理する「入退室管理システム」の刷新や導入を検討している企業は少なくないでしょう。さまざまな入退室管理システムの中で、高いセキュリティ性と利便性を備えた方法とは。各システムのメリット・デメリットをご紹介します。

オフィス・事務所でのセキュリティ強化には防犯カメラの活用方法もご覧ください。

入退室管理とは?

入退室管理とは、施設や室内に出入りした人を管理することを言います。入退室管理をすることで、関係者以外の無断の立ち入りを防いだり、特定の部屋に誰が入ったか記録を残したりすることができます。

オフィスの入退室管理が重要な理由

個人情報をはじめとするさまざまな機密情報を扱うオフィスでは、年々セキュリティに対する意識が高まっています。

一般的なオフィスは、業務を行う執務スペースと、お客様対応を行う接客スペースに分かれています。このうち、執務スペースではさまざまな情報を扱っています。万が一個人情報が漏えいした場合や、監査が入った場合、オフィスで適切に情報の管理が行われていたことを証明するためにも、誰がいつ執務スペースに出入りしたかを記録しておく必要があります。

また、オフィスにおける情報セキュリティ保護が適切になされているかについては、プライバシーマーク(Pマーク)ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)といった認証を受けることで証明できます。特にPマークを取得するためには、入退室管理を厳密に行う必要があります。ISMS認証を取得する場合でも、適切な入退室管理を行うことは努力義務となっています。

オフィスの入退室管理システムの種類

オフィスの入退室管理はできるだけシステム化したほうが効率的です。入退室管理システムには、次のような種類が挙げられます。

ICカード

現在、多くのオフィスが導入している入退室管理システムがICカード方式です。集合エントランスや各部屋の前に設置されたICリーダーに、ICチップが入ったカードをかざすことで、入り口が解錠されます。

ICカード方式のメリットは、物理的な鍵と手書きの入退室記録で入退室管理をするよりも効率的である点です。また、システムが建物側に設置されていれば、初期費用として端末代が数十万〜数百万円、カード1枚あたり数千円ほどと、そう高額にはなりません。

一方で、次のようなデメリットがあります。まず、ICカードは紛失する可能性がある点で、セキュリティレベルはそう高くありません。なくしたカードを第三者に取得され、悪用されかねないためです。また、ICカードが個人に紐付いて発行されていたとしても、Aさんがカードを忘れたためにBさんのカードを借りて入室した場合、正しく入退室管理ができません。また、ICカード方式は初期費用は安価で済みますが、ICカードを紛失した場合には再発行費用がかかります。

スマートロック

個人のスマートフォンに専用アプリをインストールし、入り口のリーダーにスマホをかざすことで解錠するのがスマートロックと呼ばれる入退室管理システムです。

ICカードのように物理的な「鍵」を配布する必要がないため、紛失の心配はありません。また、スマートロックは誰がいつ入室したか、クラウド上にデータが残ります。クラウド側でユーザーを一括管理できるため、拠点を複数設けている企業でも本社で一括して権利の設定が可能です。

管理が便利な一方で、ユーザー側には「扉の前で必ずスマホを出してリーダーにかざす」「アプリを立ち上げる」というひと手間が発生したり、スマホを忘れたら解錠できなかったりといった不便さがあります。別フロアやトイレに行くなど、ビル内を少し移動する場合でも、常にスマホを持ち歩かなければならない煩わしさがつきまといます。

指紋認証

あらかじめ個人の指紋を登録しておき、入り口のリーダーで指紋を読み取らせて解錠するのが指紋認証です。

個人の指紋を使うので、確実に本人を特定することができるセキュリティ性の高い方法です。また、カードやスマホと違って落としたりなくしたりする心配がありません。

指紋認証は、リーダーに直接触れて指紋を読み取らせるため、コロナ禍での接触を避けたいと考える方には敬遠されがちです。また、冬になると手指の乾燥によって認証がされにくくなる点や、ウォークスルーでの認証が不可能な点はデメリットと言えます。

顔認証

顔認証は指紋認証と同じように、あらかじめ個人の顔をシステムに登録します。登録されたデータをもとに、入り口に設置されたカメラや端末で個人を特定し、解錠します。

生体認証なので、「鍵」となるカードやスマホを落としたり、なくしたりする心配もありません。

顔認証には、オンプレミス型(※)・クラウド型があります。オンプレ型は、拠点Aに顔を登録した場合、Aの扉しか解錠することができません。一方、クラウド型の顔認証を選べば、A拠点・B拠点・C拠点など、多拠点に設置された認証システムを本社で一括管理することができます。拠点間の出張などが生じた場合に、いちいち別拠点への登録をする必要がなく、便利です。

費用面では以前まではICカード方式やスマートロックの方が安価と言われていましたが、近年、専用端末の低価格化とクラウドサービスの発展で非常に安価に導入が可能となってきており、さらにはセキュリティレベルも大きく向上させられます。

※オンプレミス型……自社内にサーバーを設置し、システムを構築する形態。運用も自社で行う。

オフィスの入退室管理システム運用における現状の課題

オフィスの入退室管理システムを運用するうえでは、現状さまざまな課題があります。

たとえば、多くの現場で採用されているICカード方式による入退室管理の方法では、個人を確実に特定することができません。必ずしもカードと個人が紐付いているわけではないため、落ちていたICカードを拾った人や、他者からICカードを借りた人など、「カードを持っている人」なら誰でも入室できてしまいます。また入退室履歴のデータも都度ビル管理者へ問い合わせが必要であったり、欲しい形式のデータで取得できない手間なども考えられます。

また、認証方式によらずオンプレ型の入退室管理システムを導入している現場では、データ管理が非効率になりがちです。オンプレ型は、データが拠点ごとに閉じているため、サテライトオフィスのようにオフィスを多数構えている企業では、A拠点はA拠点、B拠点はB拠点でそれぞれデータを管理する必要があります。クラウド型にした場合、A拠点、B拠点、C拠点いずれのデータも本社で一括管理できます。

クラウド顔認証システムで課題を解決

こうしたオフィスの入退室管理システム運用における課題は、クラウド型の顔認証システムで解決が可能です。

顔認証システムなので、ICカードのように「落とす」「なくす」ことがありません。顔認証システムとクラウドカメラの映像を併用することで、顔認証された「タイミング」を特定し更なるセキュリティ向上も可能になります。これにより、顔認証システムで起こりがちな「共連れ(※)」も映像から確認することが可能です。

※共連れ……1人の認証で複数人が入退室をおこなう不正行為のこと

クラウド型のシステムでは、データは本社で一括管理するため、多拠点での認証に対応します。権限設定を簡単に変えられるため、たとえば正社員・契約社員・派遣社員などのグループを作り、「正社員はA・B・C拠点すべて」「契約社員はA・B拠点」「派遣社員はA拠点のみ」といったように、グループごとに認証可能な端末やエリアを簡単に設定できます。

顔認証システムを導入検討中の方も、防犯カメラを併用してより高いセキュリティ性を確保したい方は、お気軽にカメラ導入のご相談をしてください。

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