保育園向けICTとは?現場の業務を効率化するシステムの種類と活用方法

保育園向けICTとは?現場の業務を効率化するシステムの種類と活用方法

近年、保育士不足が深刻化しています。保育士1人ひとりの負担が増え、離職につながったり、園児への細かなケアが行き届かなくなるなど、問題を抱えている現場は少なくないでしょう。そうした課題を解決するのが、保育園向けICT(Information and Communication Technology)。

保育園ICTにはどういった種類があるのか、どう活用することで業務支援につなげているのか、解説します。

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保育園ICTとは

近年、保育の現場では、保育士不足が深刻化しています。保育士不足の問題は、保育士1人ひとりに負担となってのしかかっています。カメラやセンサーといったツールやインターネットを用いて現場の業務を支援し、保育士の業務負担を軽減するのが、保育園ICTです。

保育園の現場の課題

幼い子どもの命を預かる保育園・幼稚園では、大切な園児に万が一のことが起こらないよう、保育士は1日中、緊張感を持って働いています。たとえば、午睡の時間には、0歳児の園児のうつぶせ死を防ぐため、仰向けで寝ているか、心拍はどうか、5分ごとに確認し記録します。園児の生死にかかわるこうした業務は、心身に大きな負担を及ぼします。

登降園時の「ピンポン番」も、保育園業務の負担の1つです。インターフォンが鳴るたびにどの園児の保護者か確認し、解錠する作業を、ピンポン番と呼びます。時間差で登園・降園する園児に対応するため、保育士の中の誰か一人はインターフォンの対応にかかりきりになってしまいます。

保育園向けICTシステムの種類

保育園向けICTシステムには、次のようなものが挙げられます。

午睡チェックツール

園児のうつぶせ死を防ぐため、センサーなどのモニタリング機器と連動させて使用します。寝具などに搭載されたセンサーで体動を検出し、異常があった場合に警報音やランプで知らせます。保育士が目視で確認した子どもの体勢や様子は、アプリに直接入力して記録します。

事務作業支援ツール

園児が登園してきた際に記録をする登園管理、保育日誌の作成、月案・週案の管理、発達記録など、これまで紙に記入していたものをアプリ上で記録するようにしたものです。

動画の自動配信サービス

園児の日頃の様子をネットワークカメラなどで撮影し、保護者に自動配信するサービスです。

入退室管理システム

園児やその保護者など、決められた人しか園内に入れないように入退室を管理するシステムです。ICカード方式や顔認証方式などがあります。

保育園ICTを導入することのメリット

保育園ICTを導入することで、保育施設や保護者にとっては次のようなメリットがあります。

保育施設へのメリット

保育園ICTは、業務効率化を進めてコスト削減を目指すというよりも、既存の保育士の負担軽減を目的とするものがほとんどです。業務改善を行い、保育士が長く働ける環境を作る目的があります。負担が少なく働きやすい職場環境を提供することで、保育士の離職を防ぐことができるほか、保育士採用の際、業務改善や負担軽減に力を入れていることをアピールすることができます。

保護者へのメリット

保育園ICTを活用して保育士の負担軽減を図ることは、保護者のメリットにもつながります。たとえば、入退室管理システムを活用することで、登園時にインターフォンを押して解錠されるまで待つ時間が省けます。また、登園前に検温した体温をスマホからアプリで登園管理アプリに入力することで、体温を紙に書いて提出する手間が省けます。1つ1つは些細な手間ですが、毎日のこととなると大きな負担軽減となるでしょう。

保育園ICT導入にあたっての注意点

保育園ICTの導入にあたっては、国と地方行政機関が費用の一部を負担する補助金制度を利用できる場合があります。この補助金制度を活用する場合、補助金は初期費用にのみ適用されるケースが多いため注意しましょう。

保育園ICTは、初期の導入費用とは別に、月々のランニングコストが発生する場合があります。初期費用はもちろんですが、ランニングコストがどれくらいかかるか確認したうえで導入を検討しましょう。

保育園ICTの活用事例

クラウドカメラの活用

保育園ICTの活用事例の1つに、音声収録の機能がついたクラウドカメラが挙げられます。保育園では、入り口や廊下などに防犯カメラを設置して、万が一の事態に活用していますが、クラウドカメラであれば、カメラで撮影した映像をパソコンやスマホのブラウザを介してどこからでも視聴することができます。

保育園の近隣に住む人の中には、子どもの遊ぶ声が苦手な人もおり、「子どもの声がうるさい」などのクレームが届くことがあります。音声収録ができるクラウドカメラを入り口に設置しておくことで、苦情の温度感や緊急度も本部と共有でき、対応を共に検討することができます。

また、今後は少子化で子どもの数が減り、保護者側が「保育園・幼稚園を選ぶ」時代になるでしょう。そうしたとき、別の園と差別化するため、質の高いサービスを提供する必要があります。音声が収録できるクラウドカメラを活用することで、子どもが普段どんな園生活をしているか、保護者に向けて歌声や笑い声とともに映像を共有することができます。

防犯カメラの活用方法は、以下の記事も参考にしてください。

入退室管理システムの活用

また、顔認証でドアを開け閉めする入退室管理システムを導入することで、セキュリティが向上した例もあります。

入退室管理システムとしては現状、ICカードをカードリーダーにかざして解錠するICカード方式が主ですが、ICカード方式はセキュリティの観点から盤石であるとはいえません。たとえば、悪意の第三者がICカードを盗難・拾得して「なりすまし」で保育園に侵入したり、離婚した元配偶者がICカードを持ったままになっていて子どもを連れ帰ってしまったりといった問題が起きかねません。

その点、顔認証による入退室管理の場合、「顔」という唯一無二のパーツが鍵になるため、なりすましを防止したり、顔を登録した人のみ入退室を可能にしたりすることができます。

顔認証の場合、カードなど物理的な鍵を持たずに済むため、保護者が下の子を抱きかかえて園児を迎えにきたときなどにカードを出し入れする必要がありません。保育園への送迎は毎日のことなので、こうした小さなストレスがなくなることは、保育士・保護者双方への負担軽減になります。

保育園の送迎は、従来は母親がすることが主でした。近年では在宅ワークなど働き方が多様化しており、父親や祖父母がお迎えに来ることが増えています。ICカード方式の入退室管理システムを使っている場合、送迎をする人に家庭内でカードを渡す必要がありましたが、顔認証方式では顔登録をした人は誰でも送迎が可能になります。カードが足りない、渡し忘れてお迎えができない、といった心配がありません。

保育園ICTで保育士の現場の業務負担を軽減

保育園は、保護者の大切な園児の「いのち」を預かる現場です。園児の体調や危険行為に細心の注意を払いながら、安心安全かつ楽しい園生活が送れるよう、園児と向き合う必要があります。保育園向けICTは、こうした保育士の本来の業務を支援するだけでなく、書類の作成や保護者への対応などを手助けし、本来の業務に集中できる環境を作ります。

保育士が園児に対してよりよい保育を提供できるよう、保育園向けICTで現場のDXを実現してはいかがでしょうか。

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