「バイク王」では顔認証サービス「Safie Visitors」を
マーケティングにどう活かすのか

全国に約61店舗を展開するバイク王では、セーフィーが2019年10月から新たに展開する顔認証サービス「Safie Visitors(セーフィー ビジターズ)」を導入いただいています。共同で実証実験を重ね、その精度を高めていったプロセスから、「来店客数のカウント」を起点としたバイク王の今後のマーケティング活用まで話を伺いました。

(取材:2020年2月)

※Safie Visitorsについては、2022年11月末をもって新規販売を終了しました。

導入の決め手

  • センサーなどに比べて精度が高かった
  • 認証精度が高く改善されたため

導入目的

  • 顧客数と営業指標の関係性を計測したかった

導入した結果

  • 来店客数の把握ができるようになった
  • 可視化されたデータを元にマーケティングへ活かすイメージがつかめた
  • 在庫の適正配置にも活用できると感じた

2019年10月から、セーフィーは新たに「Safie Visitors」の提供を開始しました。顔認証技術を利用し、接遇改善やマーケティング、業務改善を実現するサービスです。来店回数のカウント、属性分析、来店客数の把握や特定人物の来訪通知などの機能を提供しています。

Safie Visitorsをいち早く導入いただいたのが、「バイク王」を展開する株式会社バイク王&カンパニーです。同社は「バイクライフの生涯パートナー」を目指し、「バイク王」の店舗を中心にバイクを「売る」「買う」「楽しむ」ためのさまざまなサービスを展開しています。同社のバイクライフプランニング事業部 事業部長 辻村祐也さんに導入の経緯から実際の運用方法までお話いただきました。

属人的な来店客数カウントに「Safie Visitors」活用へ

現在、全国に約61店舗を展開するバイク王。ロードサイド型店舗のほかに、集客力の高いモール内に入居している店舗や、パーツ販売店とのコラボレーションによる店舗展開など、その形態は多岐にわたります。店舗形態が多様化するなかで、顧客数を把握する母数となる「来店客数のカウント」に課題を抱えていました。

辻村さん:もともと来店客数を属人的に計算していたんです。そのため、誤差が生じることもあり、来店客数と営業指標の関係性を計測しにくいという問題を抱えていました。過去には、センサーで来店客数をカウントする比較的安価なサービスも見てみたのですが、それでは従業員もカウントされてしまったりと精度が低いのが課題でした。

辻村さんはこのように語ります。来店客数を計測できるシステムの導入を検討していたもののコストとの兼ね合いもあり、最適なサービスを見つけるのに苦労していました。そんななかでセーフィーが提供している「Safie Visitors」の話を聞きサービスを知りました。

試行錯誤を重ね、顔認証の精度が95パーセントまで上昇

導入の際には、顔認証にまつわる法規制に関しても社内法務と丁寧にコミュニケーションを重ねていきました。

辻村さん:店舗の入り口にて、個人情報の取得と保存について告知する紙を貼っています。Safie Visitors利用において個人情報の取り扱いを関連法規及び「カメラ画像利活用ガイドブック」に準拠することで、「それであれば問題ない」と社内法務から言われています。ただ、今後さらにマーケティングに活かすために社内システムと接続したりする場合には、取得情報の扱いに関して対応を慎重に検討していく必要があります。

この度、最初に導入いただいたのは、埼玉県にある「バイク王上尾店」です。顔認証や来店客数カウントの仕組みが正常に機能するかどうか、正式導入に先駆け、上尾店ではさまざまな検証を重ねていきました。

辻村さん:特に土日の来店客数が多いので、店舗に行き、Safie Visitorsの認識数と実数が合っているかどうか、目視でカウントしたんです。最初は認証率が60パーセントでした。たとえば、顔の角度によって、回遊しているときに再来店ではなく新規顧客と認識してしまったりと課題を抱えていました。

カメラの設置場所のチューニングや、Safie Visitorsのソフトウェアの改善によって顔の認識率が向上し、その精度は95パーセントまで上げることに成功しました。「この精度であれば正式導入できるし、他店舗にも拡げていけると思ったんです」と辻村さんは語ります。

カメラ2台を横並びで設置し実証実験を重ねた名残がある上尾店を含め、現在では全国6店舗にSafie Visitorsが導入されています。「販売成果が上がっている店舗と、そうでない店舗に追加導入をしました。データの蓄積を通じて、その要因を明らかにしようと考えています」。

辻村さんは運用していくなかで気づいたポイントを次のように挙げます。

辻村さん:認証率に関しては申し分がないのですが、当社で使う場合のカスタマイズができると良いですよね。例えば、来店するお客様の多くが集団でやってきます。その場合、来店客数ではなく来店組数がポイントになるわけです。複数人のグループを組数としてカウントする機能があれば、嬉しいですね。

在庫の適正配置にまで広げたい活用の幅

最後に、今後の「Safie Visitors」の活用計画についても伺いました。

辻村さん:現在は来店客数の把握に役立てていますが、今後はお客様が訪れたときに社内システムと紐付いてアラートが出たり、それを通じて成約につながるポイントを可視化したりと、そういう展開ができれば良いなと考えています。また、一般的に総来客数の約10パーセントが成約売買契約になるんですね。言い換えれば、9割のお客様は来店データとして蓄積されてこなかった。そのお客様の年齢層や訪問時間帯、男女比などが分かれば、在庫の適正配置につなげていけると思います。Safie Visitorsで得られるデータを、そういった部分にも活かしていきたいですね。

※本文中の「顔認証」の精度は、アルゴリズムそのものの精度ではなく、サービス利用時(カメラの設置角度など)の環境下での精度をさします

※Safie Visitorsについては、2022年11月末をもって新規販売を終了しました。
※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2020年2月公開当時のものです。

お話を伺った方

株式会社バイク王&カンパニー バイクライフプランニング事業部 事業部長 辻村祐也さん