現場のための「見守りカメラ」
遠隔からのフォローで若手の育成にも繋げるSafie活用術

首都圏のライフラインを支えている株式会社カンドー。ガスパイプラインの施工や道路舗装といった導管工事の現場で、約60台のSafie Pocket2を導入いただいています。導入の経緯や、活用法についてお話を伺いました。

(取材:2021年4月)

導入の決め手

  • 移動式で使い勝手がよい
  • カメラ、通信、バッテリーが一体化していてコンパクト

導入目的

  • 現場監督者の現場への急行の削減
  • 遠隔で現場の状況の把握
  • 若手現場監督者のフォロー

導入した結果

  • 現場へ駆けつける回数が削減できた
  • 安全への意識が高まった
  • 映像を教材として活かすことができた

私たちの生活に欠かすことのできない、ガス・電気・上下水道・通信といったライフライン。株式会社カンドーは、長きに渡りライフラインの構築・保守保全に携わり、独自の技術を積み重ねてきました。同社では、主要分野の1つである導管事業(ガスパイプラインの埋設や道路舗装など)の工事現場で、2020年よりSafieのウェアラブルクラウドカメラをご活用いただいています。

同社導管事業本部業務改革推進部部長の水野さん、同業務多角化プロジェクトマネージャー森田さんに、Safieカメラ活用について伺いました。

現場監督業務の効率化と若手監督者のフォローのためSafieカメラを導入

水野さん:
導管事業本部は、ガスパイプラインの埋設工事や、道路舗装を行っている部所です。主な業務としては、安全、品質、工程管理に基づき指示・監督をしています。
現場監督の業務は多岐に渡っていて、ずっと現場にいるわけではなく、別の現場や事務所での仕事もあるなど、業務負担の大きいものでもあります。この現場監督の業務を改善したいという思いがありました。現場の様子が遠隔でも映像でわかれば、何かあったときに事務所から現場へ駆けつける手間が省けます。現場も、指示やフォローをタイムリーに行って貰えれば、時間のロスが防げます。カメラを活用することで、現場の作業効率をアップしようと考えました。

また、若手監督者のフォローにも活用したいと考えていました。我々のような工事現場の仕事は、慢性的な人手不足で、特に若手の育成に苦慮しています。ガス導管工事の監督を行えるようになるには資格が必要で、取得可能となるには、最低1年の経験が必要。現場で独り立ちできるようになるには、さらに数年の経験が必要です。これまで、若手監督者が判断に迷うときは、ベテランが駆けつけるということも多々ありました。工事の状況を映像で見られれば、遠隔地にいるベテランが映像を見て指示やアドバイスを送ることができます。そうすることで、若手監督者の心理的負担の軽減や、成長にもつながると思っています。

──他社製品も含め、数あるカメラの中で、Safie Pocket2を導入いただいた決め手は何だったのでしょう?

水野さん:
我々の工事は、早ければ数時間で終わってしまうようなものもあり、日々変化する現場です。ですので、カメラも持ち運びや移動が簡単なものである必要がありました。当初は、掘削機にドライブレコーダーを取り付けて使っていたりもしたのですが、使い勝手が悪いものでした。そのような中、昨年6月にセーフィーさんのSafie Pocket1と出会い、テスト導入しました。その後Safie Pocket2が出て、より使い勝手が向上していて、現場でもぜひSafie Pocket2に切り替えてほしいという話があったため、各営業所へ導入しました。

クラウドカメラの活用は監視ではなく「見守り」

──現在は、どのような運用をなさっているのでしょうか?

水野さん:
現在は、各営業所に数台ずつ配布し、1現場に1台カメラを配備し撮影しています。その映像を、営業所と本社に設置した「見守りセンター」でチェックしています。営業所では、大きなモニターに稼働している現場の状況を映して、所長や現場管理者が随時映像を見ています。どちらかというと、何かあったときに現場と繋ぎ、映像を見ながら対処するといった形です。

一方、本社の見守りセンターでは、ベテランのアドバイサー2名が常駐し、全ての現場を把握できるようになっています。現在は、若手監督者の現場だったり、作業内容よって「気をつけたほうがいいな」という現場を中心にチェックしていますが、今後は、定期的な巡回をするか、各拠点でチェックするもの、見守りセンターで対応するものなどの運用ルールなどを策定していきたいと考えています。

私たちのカメラ活用は、「現場の監視」ではなく、あくまで「現場の見守り」です。現場の安全や若手監督者のフォローのためであって、作業員の監視ではありません。カメラの導入当初は、常に見られているということへの心理的な抵抗があったかもしれませんが、今では現場作業員にとってもカメラがあることが当たり前のようになってきています。

偶然映りこむ人の肖像権の問題や録画したデータの取り扱いなど、利用にあたって注意すべきことがいろいろあり、セーフィーさんや法律の専門家とも相談しながら進めています。

森田さん:
現場には、「監視でなくてフォローなんだよ」と説明をしました。この映像を見て作業を評価したりもしません。むしろ、「いつでも見守っているから、現場の困りごとがあったら、なんでも相談してね」と伝えています。実際に、カメラ映像のおかげでトラブルが早期に解決したことなどがあり、現場監督者はもとより、協力会社の作業員もカメラ設置のメリットを感じてきているようです。

──カメラを導入した効果について教えてください。

水野さん:
現在は本格的な活用に向けたリサーチを兼ねている段階ですので、数字で表せるような効果というものはまとまっていません。
しかし、現場監督が現場に駆けつける回数というのは、確実に減っており1〜2割まで抑えられている印象です。これまでは何かあるたびに、事務所から現場まで移動していました。わずか数分のために1時間近くかけて移動することも多々ありました。それがカメラ映像で確認し、すぐに判断できるようになることで、移動時間を削減できたり、その間作業がストップするといったこともなくなりました。

また、これまではトレーナーと呼ばれるベテランが、現場を巡回して状況をチェックしていました。トレーナー2人で月に60箇所も巡回しなければならないケースもあり、各現場を月に1回程度しか訪れることができなかったものが、カメラ映像を使うことで、実際に足を運ばなくても1日にいくつもの現場をチェックすることができるようになりました。

このような作業効率がアップすることは労働時間の削減にもなり、ひいては働き方改革にも繋がります。また、現場への駆けつけが減ることで、交通事故のリスクの低減、ガソリン代や保険料などのコスト削減も可能になるかもしれません。

そして何より、「何かあったら相談できる」「見守られている」ということが、若手の現場監督の心理的な負担を軽減し、成長速度を上げることにもつながっているのではないかと思っています。

カメラが捉えた現場のリアルを研修資料や安全指導にも活用したい

──今後のカメラ活用の展望について教えてください。

森田さん:
録画した現場の映像を切り出してダウンロードし不安全行動の研修教材として使ったことがあります。そういった安全指導に視覚的に訴えられることは映像を活用する大きなメリットであると感じています。

水野さん:
これまでは、模範行動も不安全行動もなかなか記録に残すことができませんでした。カメラを常時回していれば、全て記録として残すことができます。実際の現場での出来事は、生きた教材となるはずです。良い事例、悪い事例共にリアルな映像を見られることは、安全に対する意識や、技術の向上にもつながるのではないかと思っています。
ヒヤリ・ハットの事例集なども作成できればいいですね。

今はまだ、実証実験段階といったところで、カメラで何ができるかを探っている状態で、現場からの声も、集めている状況です。ただ、1つ言えることは、私たちの仕事において、カメラの活用の範囲はとても広く、これからの仕事に欠かすことができないものになってくるということです。これからも、カメラを活用して業務の効率化や安全の向上を図っていきたいと思っています。

※本記事に掲載している企業情報、所属及びインタビュー内容は、2021年4月公開当時のものです。

お話を伺った方

株式会社カンドー
導管事業本部 業務改革推進部 部長 水野 晃 さん
同 業務多角化プロジェクトマネージャー 森田 泰司 さん