佐渡島隆平立ち上げの辞2「見える未来文化研究所を立ち上げます」

「見える未来文化研究所」とは?

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Writer: 山内宏泰

2020/05/22

佐渡島隆平立ち上げの辞2「見える未来文化研究所を立ち上げます」

「よく観察して」遊んでいた少年時代

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「映像から未来をつくる」

そんなビジョンを掲げてクラウドカメラ事業を展開し、このたび「見える未来文化研究所」を立ち上げることとなった僕の原点を、簡単にお伝えしておきたく思います。

小さいころから、町を歩き風景を眺めるのが好きでした。
生まれ育った兵庫県の平凡な住宅街を、目的もなくひとりであちらこちら歩き回るのが、最高の遊び方。
道を覚えるのも得意で、小学校低学年のころには町内を歩き尽くし、近所で知らない道はなくなってしまいました。

何を思って、そんなにうろついていたのか。

町を征服した気分に浸りたかったわけでもなければ、自分なりのオリジナル地図をつくろうといった狙いがあった訳でもありません。
おそらくは、いつ見てもほとんど変わらない町並みの中から、ちょっとした変化を見つけ出すのが楽しかったんだと思います。
町の眺めは天候ひとつでずいぶん印象が異なりますし、季節によって草木の繁り方も変わってきます。
ときには角地にあった建物が消えて、更地になるような大変化に驚かされたりもしました。
そんなつもりはなかったけれど、知らないうちに、自分の町を定点観測をしていたようです。

ご存知のとおり兵庫県は、1995年に阪神淡路大震災に見舞われました。

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私は当時、高校生でした。大好きな町も被災地の一部になりました。
事態が少し落ち着いたころ、小さいころからの習慣である町歩きを再開しました。
凝り始めていたカメラを手にして、震災から徐々に復興していくわが町を写真に収めていきました。
震災から間もないときは着の身着のままだった人たちが、少しずつカラフルな服装に変わっていくのを記録するのが、嬉しかったことを覚えています。

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町歩きが好きだった延長線上か、大学時代はバックパッカーになって世界中を巡りました。

特によく足を運んだのが、砂漠です。
サハラ砂漠にもタクラマカン砂漠にも行きました。それぞれの砂漠の眺めにほとんど差はないのですが、砂漠に身を置いているときのシンプルさが気に入っていました。
自分がいて、そのほかには見渡すかぎり何もない。夜は本当に真っ暗で、孤独だけど、それが楽しかった。

周りを観察して歩きながら、小さい変化に目を向ける習慣は、今も変わりません。
東京の街をよく歩きますが、再開発地域が少しずつ形を成していく様子を見たり、満員電車に乗る人々の表情や服装の変化に目を向けるとおもしろい。

物事は大抵、気づかぬほど僅かずつ、でも確実に移ろっていく。

その変化をもたらしているのは、結局のところ、人の気持ちだと思います。一人一人の思うこと、考えていることはもちろんバラバラですが、昨日と今日では誰の気持ちも確実に変化していて、その変化の大まかな流れや方向性は、そこから生じてくる。
定点観測を繰り返す中で、うっすらとそんなことを考えます。

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何気ない、ささやかな変化を捉えること。

その気づきや流れをうまく活用して日々の小さい選択をしていけば、世の中は少しずつ良い方向へ進むはず。
ものをよく見ること、広く眺め渡すことが、その第一歩になると思っています。小さな日々の変化を、誰もがいつでも手軽に実感できるようになったらいい。
ならば、変化を観察できる「眼」のような存在を、世の中に配ってまわることを仕事にできたら。

いつしか芽生えたそんな気持ちが、のちに自分が創業するセーフィーという会社の原型をかたちづくることになりました。

「眼の開発」から「眼を配る」仕事に邁進

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大学卒業後に就職したのは、ソニーネットワークコミュニケーションズという会社でした。

その後、ソニー木原研究所からカーブアウトし、同社が出資するモーションポートレートという会社でCMOに就任。
そこでは顔認識の機械学習アルゴリズムを研究するエンジニアとエンタメアプリの商品化を手がけていました。画像から顔を認識して、それを判別・分析・データ化できる技術です。

一次情報を取得するセンサー機能としては、世界有数のものを開発している自負がありました。ただ、その技術をもっと有効に活用できる道があるのではという思いは、ずっと付きまとっていました。
有用なデータを生かすプラットフォームも同時に準備すべきだ。そうしなければ、多くの人に役立つものはつくれないという、焦りのような気持ちです。

一方で、カメラや映像が、人にとって身近で有用な方向にちゃんと進んでいるのかどうか。そのあたりを自分ごととして考えるきっかけがありました。

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数年前のこと。我が家を建設中に、子どもの安全や防犯を考えて、家庭用防犯カメラの設置を思い立ちました。
業者に依頼して見積もりをとると、解像度がさほど高くないアナログカメラを2台設置して数十万円かかるとのこと。
価格とサービスの質が見合ってないと思い、設置は取り止めました。生活空間に「身近な眼」を設けたいニーズはあるはず。しかし手頃な価格で提供するサービスが整っていないことを実感しました。

優れた「眼」の開発に携わっている者として、ここは自分が「眼」を届ける側に回るべきでは。そう痛感して、自分の中でセーフィーの立ち上げが具体的に動き出しました。

その後、2014年にセーフィーを創業しました。以来、いつでもどこでもスマホで確認できる防犯・監視カメラのクラウドサービスを提供しています。

僕たちはカメラで撮影しているライブ映像を、インターネット経由でスマートフォンなどから手軽に確認できるようにしました。映像内で起きたことをリアルタイムで分析して、人影が現れたらフラグを付けるなど、情報処理も容易にできたりと、カメラや映像情報にインテリジェンスを与えるような拡張性も豊かです。

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クラウドカメラという世の中にまだない「眼」を生み出す会社をつくる

創業当初は、「クラウドカメラ」というサービスを世の中に知ってもらうことに苦戦しましたが、創業6年目となる現在は、全国各地、様々な業界で活用されるようになりました。
オフィスや小売店・飲食店では、来客・対応チェックや夜間・不在時の防犯、レジ・接客チェックと、幅広く利用いただいています。

さきほど僕たちが提供しているのは「防犯・監視カメラ」と述べましたが、用途はそれだけに留まりません。
急増しているのは、建設・工事現場の安全・進捗確認の例です。
車両ゲートに今どんな車が来たか、資材の在庫状況は充分か、各部の進捗度合いはどうか等、リアルタイムで映像を見ながら、遠隔で現場全体の監督・指揮ができるのです。
作業レポートの作成は映像で容易にできますし、現場の状況が事細かにわかるので、次の作業に人員がどれくらい必要かといった作業計画立案にも、クラウドカメラは力を発揮します。

売り上げアップに直接つながる情報を、現場の映像から得られる例も多くあります。
ある洋菓子チェーン店は、全国の駅ナカに展開しており、どこも15時から18時台が掻き入れどきです。
その間、いかに商品を美しくショーケースに積み上げられるかが、売り上げを大きく左右します。
そこで全店舗にカメラを設置して、15時と18時の直前のショーケースを写し、本部で一括してチェックすることにしました。
商品を並び切れていなかったり美しく陳列できていない店舗にはすぐ連絡を入れて、改善依頼をする施策を始めると、売り上げは目に見えて伸びていきました。

医療現場では、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、遠隔診療にも活用いただいています。

こうして様々な業種のお客様と、セーフィーのクラウドカメラの有効な使い方を、ともに模索している状況です。
セーフィーのサービスに限らず、これからますますカメラ・映像は力を発揮し、暮らしをより良くする原動力になっていくはずです。

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これまで気づかなかったような小さい変化が、カメラ・映像の力で可視化されて、その気づきが私たち一人ひとりのクオリティ・オブ・ライフの向上につながる。
テクノロジーの力で誰かの課題が解決された。そういう瞬間が、僕はとても嬉しいのです。

世の中に「賢い眼を配る」仕事を続けていく

このところしばしば、お客様から、「セーフィーのクラウドカメラが自分たちの眼の代わりになってくれるんだね」というありがたい声をいただきます。

まだ「見る」ことを知らなかった太古の生命体が、光を感知する器官を発達させていき、やがて映像を認識する「眼」という唯一の構造を生み出したように、映像とテクノロジーを掛け合わせることで、周りの人の助けとなる新しいテクノロジーの「眼」をつくりたい。
そして、この「賢い眼を配る」努力を続けていきたい。

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僕は、セーフィーのクラウドカメラがビジネスはもちろんのこと、教育や芸術、エンターテイメントから世界平和まで、世の中に広く活用される未来を描いています。
「見える」ことは、普段はあまり意識しなくとも、情報が増え続けるこれからの社会でいっそう重要な行為になっていくと、僕は考えています。

ぜひ、「見える」可能性を探っていく過程を、「見える未来文化研究所」で楽しんでいただけたら嬉しいです。

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撮影協力:国立科学博物館

著者紹介 About Writer

山内宏泰
ライター。美術、写真、文芸について造詣が深い。
著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)など。
「見える未来文化研究所」の共同編集長。
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