映像で“世界を検索できる”プラットフォームを構築する Safie 共同創業者 下崎守朗

映像で“世界を検索できる”プラットフォームを構築する Safie 共同創業者 下崎守朗

  • Engineer,CTO
下崎守朗
1978年生まれ 2003年東京大学情報理工学系研究科知能機械情報学修了(修士) 2003年ソニー木原研究所入社 2009年ザイオソフト株式会社入社 2013年モーションポートレート株式会社入社 2014年セーフィー株式会社創業

Safieを共同創業した、佐渡島、森本、下崎。創業者の3人は、どのような想いで事業を立ち上げ、現在の規模まで会社を成長させてきたのでしょうか。今回は、エンジニアとして技術開発を中心に会社を支えてきた下崎さんに話を伺いました。ソフトウェアからハードウェアまで包括的な経験を重ねてきた下崎さんが大切にしているのは「常にユーザーの課題に向き合う」こと。“社会に価値をもたらす”事業を生み出すために、CS対応から営業まで「なんでもやる」ことで、いまのSafieを創り上げてきました。

「映像技術で世界をつなぐプラットフォームを作りたい」と語る下崎に、Safie創業に繋がる“過去”、そしてSafieが目指す“未来”について語ってもらいました。

“上流から下流まで” 一気通貫のR&Dを経験

まずは下崎さんのSafie(セーフィー )創業以前からの経歴をお聞きしたいです。ファーストキャリアは、ソニー創成期の基礎技術を確立したソニー木原研究所でしたよね。

下崎:
実は、ソニーに入社するつもりはなかったんです。大きな企業よりは、小さな規模で、自分の好きなことがしたいと思っていたので。学生時代は、機械学習の一つである「ニューラルネットワーク」を研究していましたし、当時から一貫して“新しい領域に挑戦し続けたい”気持ちがありました。そこで出会ったのが、ソニー木原研究所です。

ソニー木原研究所は、下崎さんの想いを実現できる環境だったんですね。

下崎:
そうですね。ソニー関連の会社ですが、独立した研究所で、常に新しいことに挑戦する企業でした。たとえば、PlayStation2の「グラフィックス・シンセサイザー」の開発。PlayStation2が世界を席巻した背景には、木原研が開発したグラフィックスの機能がありました。

大学でそのまま研究に取り組む道は考えなかったんですか?

下崎:
「プロダクトを作ること」に興味があったんです。学生時代に取り組んでいた研究は、なかなか活用方法を見出せなくて。「基礎研究だけではなく、その事業化まで携わりたい」と考えていたのも、木原研を選んだ理由のひとつでした。

木原研ではどのような業務を?

下崎:
ソフトウェアサイドのエンジニアとして、下流から上流まで開発に取り組んでいました。具体的な例を挙げると、画像処理アルゴリズムからそれを動かす基盤となるLSI、両者をつなぐためのSDKの開発などです。

しかし木原研は2006年になくなりました。半導体は巨額の投資を必要とする事業です。不況と共に半導体の市場自体がシュリンクし、自分のいたチームごと解散になりました。同時にソニー木原研究所も、活動の幕を閉じたんです。

チームが解散した後は、ソニー本社へ?

下崎:
はい。そのまま転籍となりました。ビデオ事業部に配属されて、デジタルカメラとパソコンを繋ぐ「写真用のストレージ」を作っていたんです。しかし、時代と共にビデオがシュリンクし、事業部ごとなくなってしまいました。

立て続けにチームが解散してしまったのですね。やりがいのある仕事であっても、苦しい思いもされたのではないでしょうか。

下崎:
小さな規模で尖った商品を作れる環境だったので、新しい市場を生み出していく楽しさはありました。ですが、難しい部分も多くあったかと思います。

 

その後に転職されたザイオソフトでは、どのような業務に従事されたのでしょうか。

下崎:
3Dグラフィックスで医師の診断を補助する機械を開発していました。体内の写真を3Dに変換し、医師が患部を確認しやすくするための機械です。在籍中にはアメリカで新規事業の立ち上げも経験でき、良い環境でした。

異業種への転職ですが、仕事観に変化はありましたか?

下崎:
もちろんゲーム領域も興味があったのですが、ダイレクトに自分の技術が社会の役に立つ領域で働いてみたいと思うようになったんです。ゲームもその一つですが、医療領域は、目的がはっきりしていたところが魅力的に感じました。

ザイオソフト退社後は、ソニー木原研究所の後身であるモーションポートレート株式会社に転職されていますよね。こちらでは、どのような業務を?

下崎:
主にアプリケーションの開発ですね。それまでは技術を支える基盤を開発していたのですが、基盤だけで成立するサービスはないと思うんです。目的を意識しながらアプリを作り、その上で基盤をつくる。モーションポートレートでは、一気通貫でサービスを構築する必要性を改めて感じました。

ソフトウェア、ハードウェアに関わってきた経験が、現在のSafie(セーフィー )に活きているんですね。ちなみに、起業を選んだ理由には、“自ら意思決定ができる”こともありましたか?

下崎:
そうですね。当時のソニーは「1事業100億円以下のものはやる価値なし」と言われていました。100億円の規模にならなければ、ソニーの看板を背負って製品を出せないのです。ですが、新しいプロダクトをリリースし、100億円の規模に成長させるには時間がかかります。途中で撤退してしまえば、水の泡になってしまう。自分たちで成長速度を決め、事業に取り組める環境を獲得するためにSafie(セーフィー )を創業しました。

ユーザーが“映像で世界を検索できる”未来を目指したい

Safie(セーフィー )はセキュリティカメラを入り口に、クラウドの映像活用プラットフォームを目指していますよね。創業時はどのようなビジョンで事業を構想されたのでしょうか。

下崎:
「映像データを活用できるプラットフォームをつくりたい」と考えていました。そのためには、カメラを通して多くの映像データを集めることが必須です。ユーザーが映像データを活用できる未来を目指して、まずはセキュリティカメラのサービスから始めることにしました。

「映像データを活用できるプラットフォーム」とは、どのようなものでしょうか?

下崎:
「リアルタイムで閲覧できるGoogleストリートビュー」のようなプラットフォームです。Googleストリートビューの場合は、Googleがデータを集め、プラットフォームを構築します。そうではなく、Safieでは自分が撮影したデータを、その人自身が活用できる基盤を構築したいと思っています。

Googleのようにデータを独占するのではなく、Safieの場合はプラットフォームを利用する個人が能動的にデータを活用できる、ということでしょうか。

下崎:
そうですね。プラットフォームを構築できれば、映像活用の選択肢を増やせると信じています。たとえばAmazonや楽天には、たくさんのお店や商品があるから多くのお客さんが集まりますよね。お客さんが集まる場所なので、出店者側も「ここに出せば売れる」と感じて、商品を販売しています。
映像でも同じように、「この映像データを使って、何かがしたい」と考えた人が、アプリを設計したりできる場所をつくろうと準備しています。たとえばデータをアップするだけで、画像解析などの活用方法が手軽に選択できると便利ですよね。
私たちでは思いつかないような映像の活用方法が出てくれば、非常に面白いと思います。今はまだ“想定の範囲内”でしか映像活用は進んでいません。いずれ「そんな使い方があるんだ!」と驚くような、革新的な活用方法が出てきてほしいんです。

映像の世界で新たなプラットフォーム構築を目指す上で、現在はどのようなことに取り組んでいますか。

下崎:
今はとにかく、データ集めに注力しています。ある程度大きなプラットフォームにならなければ、想像を超える面白い世界は見えてきません。理想とするプラットフォームを構築するには、「最初に多くのユーザーを集め、どれだけデータを集められるか」が重要です。セキュリティカメラの事業だけにこだわらず、活用できるデータを貪欲に集めていきたいと思っています。

会社の成長のため、CS対応も営業も“なんでも”やってきた創業当初。

下崎さんはザイオソフト時代には、アメリカで新規事業立ち上げを経験されていましたよね。大企業の中で新規事業に関わることと、新規企業を立ち上げるのでは、どのような違いがありましたか。

下崎:
特に規模の大きさは関係ないと思いますが、自分たちは人数が少ないので一人ひとりが意思決定を下す場面が多かったです。経営をする側になると、技術的な面はもちろんのこと、“会社をいかにして成長させ存続させるのか”が重要になります。大企業からスタートアップに身を移したことで、仕事に対する意識が大きく変化しました。
大企業では、業務の上位に目的があり、目的を達成するために役割が付与されます。しかし我々の場合、その目的に到達するためには“何をやってもいい”ことになっています。営業でも雑務でも、極端な例でいうと、一日中掃除をしていても良い。要は「よりよいサービスやプロダクトを提供する」ために必要なことを各々が考えて実行することが重要だと考えています。

下崎さんは以前まで、R&Dが主たる業務でしたよね。環境が変化し、役割も大きく変わったのかと思います。

下崎:
変化があったのは事実です。でも、どれも新鮮で、大変だと感じたことはありません。たとえば営業の場合、成果を出して売り上げにつなげることも重要でしたが、お客さんの要望を直接聞けることに価値を感じました。明確なニーズを理解した上で、自分が動いてサービスを提供できることが楽しかったですね。
営業のほかに、CS対応もしていました。エンジニアの席の近くにCS用の電話を置き、ユーザーの声を直接聞くんです。使いやすさやUXに関する要望が多かったので、プロダクトの開発にダイレクトにそのフィードバックを活かせましたね。

映像プラットフォームで安心・安全な未来をつくる。Safie(セーフィー )が目指す世界とは

現在は提携企業も増え、事業展開も順調に進んでいますよね。次に成し遂げたい目標をお伺いできますか?

下崎:
ひとつは、SlackのプラグインやAlexaのスキルストアのようなプラットフォーム開発に取り組むことです。ユーザーや事業者が集まって、誰でも簡単に映像の活用方法を見つけられる場所をつくりたい。
もうひとつは、オートメーションです。カメラの設定や管理などこれまで人手がかかっていた作業は自動で行うようになっていますが、まだ検知機能や障害時の対応など人が対応しなければならないところが残っています。AIなども駆使して置くだけ簡単をさらに突き詰めたいです。特殊な機材を使わずとも、ただネットワークにつなぐだけで勝手に動くシステムをつくりたいと思っています。
社会にはデバイスが普及し、映像データは‟誰でも撮影できる”身近な存在となりました。しかし映像の活用手段はまだ数が少ないのが現実です。Safieの目指す「映像プラットフォーム」が実現すれば、社会のさまざまな課題の解決に寄与できるはず。多くの企業や人にとって、大きな価値がもたらされる場所になると確信しています。
とはいえ、ゴールを100と仮定すると今いる地点はまだ10くらい。歩みを進めるごとに次々と目標が出てくることもあるでしょうし、もしかしたら永遠に100に辿り着かないかもしれません。規模やステージが進むごとに、できることも変わるし、見える景色も変わると思います。そうした景色を楽しみながら進めていけたらいいですね。

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