プロダクト・サービス・プラットフォームをおさえて勝ち残る Safie共同創業者 森本数馬

プロダクト・サービス・プラットフォームをおさえて勝ち残る Safie共同創業者 森本数馬

  • Engineer,CTO
森本数馬
2001年東京大学工学部応用物理物理工学科を修了後、ソニーに入社。 営業職から開発職にキャリアチェンジし、Walkman、カメラなどのシステムLSI開発からTVなどメディア系プロダクトのソフトウェア開発を経験する。 2012年GREE CTO室勤務を経て、2013年にソニーからスピンアウトしたモーションポートレートに入社。顔認証技術を利用したライブラリ開発などに携わる。 2014年10月にセーフィー株式会社を創業。Safie(セーフィー )のサーバー・インフラチームを統括している。

Safie(セーフィー )を「これがないと困る」と言われるサービスに育てたいと語る森本は、ソニー時代に味わったある”敗北感”が原体験となり、Safie(セーフィー )というクラウド映像プラットフォームを手がけることを決意しました。
営業からエンジニアまでの幅広い職種経験を活かし、ビジネスとエンジニアリングを越境する。そんな森本に、創業以前のキャリア、創業期に感じた課題と危機感、これから実現したい未来について聞いてみました。

「事業に対して責任を持ちたい」ソニーで培ったビジネスマインド

新卒でソニーに入社したんですよね。ファーストキャリアとして、なぜソニーを選んだのですか?

森本:
元々は学部の大先輩が作られたベンチャー企業への入社を希望していたのですが、中々親の理解を得られず、同じく先輩が勤めており大企業としては比較的自由度が高いという事でソニー入社を決めました。

なぜベンチャー志向があったのでしょうか?

森本:
大学で物理の研究をしていたのですが、その研究をビジネスにできないかと考える中で、起業や事業を立ち上げる選択肢に関心を持つようになりました。だから、事業を立ち上げる経験が身につきやすいベンチャー企業を志望していたんです。

Safie(セーフィー )創業で、その夢に近づいたとも言えますね。ちなみに、ソニーでは新卒からエンジニアとして働いていましたか?

森本:
最初の配属は営業部だったんです。エンジニアとして配属されると思っていたのですが、あまりに予想外で最初の頃は「しばらくやって辞めよう」と考えていました。でも、やってみると学ぶところが多く、当時の営業の経験が今の自分の基盤となっています。
ソニーは若手にも裁量権を与えてくれる会社です。入社1年目から1人で色々な会社に出向かせてくれたので、業務を遂行しながら、物事の考え方やプロジェクトの進め方が一通り身についたのは、振り返るといい経験でした。

営業部を経て、次はエンジニアに?

森本:
営業は学びも多かったのですが、事業に対する最終的な責任が取れないことにもどかしさを覚えました。既製品を売りこむよりも、ビジネスを牽引するために‟何を作るのか”を考え、ゼロから作り上げるほうが自分の得意分野だと思っていたんです。なので、自ら志願して開発部署に異動させてもらいました。

サービス、プラットフォームを抑えなければ、プロダクトだけではこの先勝ち残れない。Googleとの共同プロジェクトで感じた危機意識

ソニーには約10年在籍するなかで、キャリアの後半でGoogleのプロジェクトに携わっていたんですよね。

森本:
Google TVのプロジェクトに参加しました。Google社と一緒にシステムの仕様を決めたり、セキュリティ強化に取り組んだり、システム系全般を担うポジションでした。
実はこのプロジェクトで、人生はじめての挫折を経験したんです。Google TVを開発する上で最も重要なのは「Androidが機能する」こと。テレビというハードウェアが主ではなく、あくまでハードウェアベンダーという立ち位置でした。Google社にとって、パートナーがソニーでなくてはいけない必要性はなかったんです。そのときに「自分たちでAndroidのようなプラットフォームを作らなければいけない」と強い危機意識を持ちました。

その後、グリーに転職しますよね。グリーといえば、ソーシャルゲームプラットフォームを構築していた企業です。Google TVの時に感じた”悔しさ”の影響があるんですか?

森本:
まさにそうです。当時、グリーはアメリカ最大のソーシャルゲームプラットフォームを提供するOpenFeint(オープンフェイント)を買収したタイミングでした。OpenFeintは、7,000万人ものユーザーを抱えるプラットフォームであり、グリーのプラットフォームが大きく広がるのではとの期待がありました。

グリーでは念願のプラットフォーム開発を?

森本:
残念ながらプラットフォームの開発が途中で終わってしまい、開発に関わる事はできませんでした。Google、Appleがデフォルト機能としてゲーミング機能を強化してきたというのもうまくいかなかった要因の一つかもしれません。

結局プラットフォーム開発に関わることはできなかったんですね。

森本:
なので、グリーにいた期間はそこまで長くなかったです。1年半ほどCTO室やインフラ系の部署でエンジニアとして働き、モーションポートレートに転職しました。
そのおかげでサーバー関連の知識や、AWSに触れられたのは一方ですごく良い経験となりました。

優れたハードウェア・メーカーの多い日本で見つけた、ビジネスチャンス

モーションポートレートは、いまの創業メンバー3人が集った会社ですよね。転職した理由を教えてください。

森本:エンジニアとして経験の幅を広げられると思ったからです。それまで一通りのエンジニアリングを経験するなかで、次は機械学習のスキルを身に着けたいと考えていました。当時は「これから人工知能の時代になる」とぼんやり考えていたんですね。またグラフィックス系の技術にも興味があり、その両方を展開しているのがモーションポートレートでした。特に人の顔の機械学習の分野では、モーションポートレートは日本におけるパイオニア的存在。自身の経験を活かしながら、より大きなプラットフォーム開発に関わることができると感じていました。

モーションポートレートでは、プラットフォーム開発に従事されたのでしょうか?

森本:
残念ながら、今回もできなかったんですよね(笑)。機械学習のライブラリはすでに出来上がっていて、新たに研究開発をする必要がなくて。
同僚だった佐渡島、下崎と次なるビジネスチャンスを模索するようになったんです。当時は佐渡島が「ドロップカム(2014年にGoogleに買収されたクラウドカメラ)の日本版をつくりたい」と言っていたのですが、私はそれでは意味がないと思いました。

ドロップカムの日本版では、意味がないと感じた理由をもう少し詳しく教えてください。

森本:むしろ、やっていることが多すぎると感じました。ドロップカムは、ソフトウェアとハードウェアの両方を自社で製造していました。しかし、日本の市場環境を考えた時に、周囲には優れたハードウェアの会社がたくさんある。足りていないのはハードウェアに搭載するソフトウェアです。ネットワーク型のカメラも、当時は全くと言っていいほど存在しませんでした。
私たちがチャンスを見出したのは、ソフトウェアの設計に特化すること。優秀なハードウェアのメーカーと協業することが、スケールのための道ではないか、と考えたんです。その発想から始まったのが、Safie(セーフィー )でした。

なぜモーションポートレートの中で新規事業を立ち上げるのではなく、起業を選択したのでしょうか?

森本:
佐渡島が「森本も辞めます」と上司に言ってしまって…。起業するしか選択肢がなかったんですよね(笑)。

 

試行錯誤を重ね、クラウドカメラのスタンダードに。次なる高みを目指すために必要だと思うこと

創業時、プロダクトをリリースするまでに大変な時期が続いたと聞いています。

森本:
今でこそ少しずつ軌道に乗り始めましたが、収益化の方法が見えなかったんです。最初はBtoCの商品としてリリースしたのですが、全く売れずで…。
プロダクトを1から作り直し、BtoBにシフトしましたが、それでもうまくいきませんでした。
いろいろな会社と組んでみても、代理店を増やしてみても、まったく売れず…。壁にぶつかり、方向を変えることの繰り返しでした。2年以上が経ち、やっと自分たちが進むべき道筋が見えてきたんです。

収益化のための道筋はどのように考えていますか。

森本:
収益のインパクトを強くするためには、個別対応を続けるのではなく、大きなクライアントさんを“落とす”ことが重要だと思っています。何百万台とあるネットカメラ市場の中で、弊社のカメラは僅か2万台ほどしかありません。我々以外の商品を使っているお客さんをしっかり取り込むことができれば、勝算があります。
今までは「Safie」の看板だけで売ることがかなり厳しかったのですが、オリックスさんなど大手のプレイヤーと協業することで、希望の兆しがみえてきました。

収益化のための方法が徐々に見えて、森本さんが現在注力しているのは何でしょうか。

森本:
2つあります。まず、あたりまえですがプロダクトの品質向上ですね。現在のソフトウェアやサービスには改善の余地がまだあるので、改善を進めていきます。対応ハードウェアも増えていきますし、それに合わせてサービスも進化させたいですね。
もうひとつは、付加価値を高めて競争力をしっかりつけることですね。Safieはクラウド録画型映像プラットフォームとしてはだいぶ広がってきたものの、競合サービスが徐々に登場しています。

Safie(セーフィー )ならではの「付加価値」とは何でしょうか?

森本:
Safie(セーフィー )というオープンプラットフォームの上で、他社サービスとの連携を進めることです。
例えば、今取り組んでいるのは、建設系の勤怠システムとの連携です。たくさんの人が働いている工事現場では、勤怠システムの管理にかなりの工数やコストがかかります。Safie(セーフィー )を連携させることで、顔認証で勤怠管理ができるかもしれないと考えています。

「これがないと困る」プラットフォームを構築する。

今後プラットフォームを成長させていくなかで、どのような価値を社会にもたらしたいと思いますか?

森本:
社会や人の“負”をきちんと解決できるサービスでありたいです。「これがあると楽しいね」ではなく「これがないと困る」ものでなければ、作る意味がない。Safie(セーフィー )のサービスやプラットフォームをその次元まで引き上げていきたいですね。

Safie(セーフィー )として、どのような課題に向き合っていくのでしょうか。

森本:
少子高齢化が進む日本社会において「労働人口の減少」は明確です。それにも関わらず、日本には非効率な仕事がとても多い。Safie(セーフィー )のシステムを導入すれば、無駄なコストを削減できます。たとえば小売店のセキュリティをSafieが担えば、Amazon Goのような無人店舗を増やすことができ、業務効率化に貢献できるはずだと。
また、例えば「トラックが、この場所をいつ通るかが知りたい」といった課題を抱える運送業者さんは、少数派かもしれないけれど、そこに確実なニーズがある。
Safie(セーフィー )がオープンプラットフォームとなり、機能を自由にカスタマイズできる環境を提供できれば、少数派のニーズにも対応できます。同様のニーズが多いのであれば、公式機能にしてしまうこともできる。明確な課題を解決する一方で、こういった顕在化していない課題にもアプローチしたいです。

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